第55回 マツタケ人工栽培究極の会 令和5年12月23日の記録

亀岡の冬は、放射冷却で保津川に霧が湧いて、視界が極端に悪くなるので、京都縦貫道は、頻回に速度制限されます。

亀岡盆地今朝の最低気温は、この冬一番の寒波で、3℃位だったでしょうか?

例によって晴天に恵まれ、高瀬教授・関谷教授の京都先端科学大学の試験地整備とマツタケ菌の接種を行いました。

参加者は、小松さん、金子さん、近藤さん、関谷先生、高瀬先生、田中さん、藤田博美さん、吉原さん、野村の9名です。

 

↓枯損松の伐採を行いました。

 

年輪では、13才〜14才(中学生くらい)です。


↑マツノザイセンチュウで枯れた(digest された)後に寄生した松喰い虫(worm)です。(センチュウではありません/マツノザイセンチュウならもっと細く、太さ〜1mm、長さ〜4mm)しかし、羽化後、再び飛来して越冬中のマツノマダラカミキリかもしれません。

続いて松の枝の開度調整をしました。

雪吊りの逆で、松の枝を下方向に引っ張ることに拠り、枝の伸びる方向に浅い根を張らせるというやり方です。

松の直根(下方に伸びる根)には、マツタケ菌は付きません。

マツタケ菌は、横方向に延びる浅い根(-20cm迄の根)に付くので、松の木を踏ん張らせる為に、ペグと縄で、枝を下方向に引っ張ります。

ならば、直下根を断根(木の又にノコギリを入れて下方向の直根を断根)する事にも同じ効果があるかもしれません。

 

マツタケ菌の接種を行いました。

 

「マツタケ人工栽培究極の会」は、2017年7月に発足して以来、足かけ8年目に入ります。

当初目標で、マツタケ人工栽培は5ヶ年計画でした。

5ヶ年計画というのは、かつてのソビエト連邦の社会主義経済の目標でしたが、

ソ連のかつての経済目標以上に、何ら根拠に基づいてはいなかった、という事が証明された様に思います。

その一方で、森林総合研究所では、マツタケと同じ菌根菌である「トリュフの人工栽培」に於いて、2015年ごろから7年で(2022年秋に)成功しています。

いわゆる、マツタケの京都方式は、故吉村文彦博士が、岩手県で一定の成功(岩手県はマツタケ収穫量が全国一位)を修めています。

我々のアプローチも、松林の整備なので、京都方式(吉村方式)だと言えます。

故吉村博士は大酒飲みで、藤田さん(上高野)や金子さんも日本酒を毎日飲んで居られます。

もし京都方式と違うとすれば、藤田さん(黄綬褒章)や私(野村)は、毎日納豆を食べている事です。

日本酒醸造や味噌造りは、麹菌(コウジキン)醗酵で、

杜氏や味噌造り職人は、仕込の時期に納豆を食べてはいけないそうです。

納豆菌が麹菌醗酵の邪魔をして、醸造が上手く行かないのです。

日本酒は、火入れして醗酵を止めているので、マツタケ菌に対し、悪さをしないと思いますが、

納豆菌は強力なので、朝飯納豆菌入りの呼気が、松の根元にかかると、マツタケ菌を駆逐するのではないかと、想像しております。

マツタケ菌は非常に弱いので、

納豆菌には勿論のこと、コウジキンにも乳酸菌(ヤクルト・ヨーグルト)にも酵母菌(生ビール)にも敗けるのです。

菌の強さで比較すると、

マツタケ菌<トリュフ<大黒本しめじ<<椎茸<麹菌(=コウジ:日本酒・味噌・醤油・味醂・酢など)<<乳酸菌<<<<<<<<<バチルス=枯草菌=納豆菌という序列でしょ!

、、、というのが、過去6年半の敗因分析です。

通り一編、処方箋を出すなら、「納豆を食べたらマスクをして試験地の施業をする事」でしょうか?

 

 

今年も、色々ありました。

と申しますのも、

不肖野村は、この5月に心筋梗塞(冠動脈硬化)による狭心症で「三途の川畔」を彷徨いました。

緊急手術で、冠動脈(2本/3本中)にステントを挿入し、二週間の入院でした。

うっかり死んでしまう事もあれば、私のように、うっかり生き永らえる事もあります。

私が三途の岸辺を彷徨いて生還したのは、現代医学のおかげですが、私の父は52年前に、同じ心筋梗塞で、うっかり死んでしまったのだと思い当たりました。

又しかし、山岡鐵舟は見事な最期を遂げたと、135年経っても語り継がれます。

お医者さん いかんいかんと 言うけれど いかん(胃癌)なかにも いいこともありby山岡鐵舟

腹張りて 苦しき中に 明け烏  by山岡鐵舟
↑胃癌で死んだ日の朝 辞世

鐵舟先生はその夜、知人(勝海舟ら)を自宅に呼んで、衆目が見守る中、結跏趺坐のまま往生して見せました。

自分の往生をイベント化して、聚めたギャラリーの前で予告死したのです。

一般人で、殉死者が出たのは、山岡鐵舟が最後だそうです。

不肖私は、山岡鐵舟(享年53)のように、剛気に生き(死に)たいと願望しますが、

臆病者なので、存外 身体を労りつつ、生き永らえています。

世の中を 憂しとやさしと 思へども ステント挿れて 永らえつつも

月見れば 千々にものこそ かなしけれ 自虐の中に 此岸こひしき

しにそこぬ のちのこころに くらぶれば むかしはものを おもはざりけり

私は、自らを労りつつ、毎日納豆を食って(塩分調整の為醤油を除けて)生き永らえている臆病者でございます。

そこは、マツタケ菌に対しても、内心忸怩たる思いです。

不肖野村、父や祖父母の没年齢を超えてしまいました。

思うに、若者と比べて、長生きすればするほど、此岸も彼岸も、恋しくなるものなんです。

人工栽培のアプローチも、あの手この手で、今年も暮れます。

本年最後の「マツタケ人工栽培究極の会」でした。

皆様、誠にお疲れさまでした。

良いお年をお迎えください。

有難うございます。

 

by 野村龍司

 

 

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