第3回、マツタケ人工栽培究極の会報告です。
2017年12月16日、京都市右京区某所にて、マツタケ菌の植菌をしました。
この日の参加者は、15名。
↑ 砂地で20年育てた松の苗の根っこの砂を落として
↑ 環状除皮(形成層を残して 環状に皮を剝く)
↑ シルクで培養したマツタケの菌糸(25℃の恒温器で、培養している)
↑ 布状の菌糸を環状除皮した根に巻きつける
↑ オガクズ培地で育てた菌糸も、樹脂のカバー(暗渠排水用フレキ)をつけて根に巻きつける
↑ 土を被せる前
↓ ヒョロ松なので、幹を支持する
もう一つの遣り方(alternative )↓
↑ 黒い紙に集めたマツタケの胞子 ※
↑ 50ppm酪酸を、発芽促進に使用して、黒い紙の上の胞子を集めて、環状除皮した根に 布で巻きつけ、植える
酪酸をマツタケ胞子の発芽促進に使用可能ということを発見して1986年に発表したのが太田先生(単離培養の第一人者)です。※
↑太田明博士
藤田博美さん「酪酸の化学式は・・・・C4H7のOが、、、いくつかいな~? 太田さん!」
太田明先生(憮然としつつ)「そりゃあ Oは2個やろ!」
僕「つまりアレ -COOH カルボン酸だからでしょ」
藤田さんは、若い頃にマツタケでノーベル賞を獲ると言っていた人だから、
酪酸の化学式を知らないはずが無いのですが、
時々、じゃれあうように、冗談を言います。
栽培地・栽培土を拵えるために、全員 手弁当で 嬉々として
土工事などをやっています。
↓左から、太田さん、今海さん、波板を運ぶ才村さん。
太田先生は、何でも的確に即答して下さるので、
弁当昼食時には、僕は太田先生の向かい合わせに陣取って、
色々 疑問をぶつけました。
僕「これで、マツタケが出ると 思てはりますか?」
太田先生「まあ、出んやろね! しばらく見ててみ~ 」
僕「そう言えば・・・海岸の松原にマツタケが獲れたという話を
聞いたことがないのですが、やっぱり塩がダメなんですか?」
太田先生「せや、Naがあかんねん」
僕「え~っ!ClやなしにNaですのん!」
僕「マツタケは、1核と2核があって、有性生殖もするときいていますが、
♂と♀があるんですか?」
太田先生「それが、性みたいなんが4つあってな! 、、、以下云々」
僕「滋賀県甲西町にウツクシの松があって、
ぼくは県立の公園に立派なウツクシの松並木があるところを
知っているんですが、あれもアカマツだから、、」
←滋賀県のウツクシ松
←同 樹幹注入
太田先生「あれは、ボクが植えたんや。 タネから育てて
マツクイムシ耐性で、樹形がウツクシ松にするためには、
マツクイムシ耐性は、優性やけど樹形は劣性だから
3世代めで1/4できるんや、あそこは谷筋だから、
マツタケは出んわね!」こそっと、独り言のように、、、
「10月10日にマツボックリをとりに行ったら、まだ種は飛んでへん筈や」
∵地下水位が高いところにマツタケは出ないことが経験的に知られている。
何であれ、誰にでも訊いて 的確な解答が得られるとは限らないのです。
的確ナル答ヲ欲スレバ 適任者ニ訊クニ如カズ だと
つくづく思いました。
同様に、いくらアタマ数を集めて会議をしても、
よい結論が得られるわけではなく、
しっかりした解は、然るべき智慧者に訊くのがよいのだと思います。
※太田先生の報告によると>>胞子は、乾燥を防ぎ密閉した容器で5℃なら数週間、-20℃なら数ヶ月は発芽力を失わない。>>ということなので、乾燥した黒い紙に数ヶ月置いた胞子は条件が悪い(生きているのかどうか怪しい)。
文責 野村龍司