第45回 マツタケ人工栽培究極の会  令和4年10月22日の記録

10月22日(土)は、京都の「鞍馬の火祭り」「時代まつり

いずれも 新型コロナVirusの影響下、3年ぶりのパレードでした。

そして同日、将棋タイトルの竜王戦第2局が右京区仁和寺で決着。

夕刻、藤井竜王の指した101手めを見て広瀬八段が投了、

藤井竜王が勝って、星を1勝1敗の五分に戻しました。

第三局以降も楽しみです。

今をときめく藤井聡太竜王(五冠)は、弱冠二十歳

タイトル戦登場11回目で、過去の十回はいずれも奪取又は防衛です。

つまり、タイトル戦で藤井聡太は敗退したことがない、

タイトル通算獲得数10期のとんでもない強さです。

しかも、二日制七番勝負

(王位戦・竜王戦・王将戦/4番先取で決着)に限って言えば、

藤井聡太竜王(五冠)は、4-0が3回、4-1が2回と、

過去に七番勝負で2敗したことがないのです。

第六局を経験したことがないのです。

弱冠二十で、既にとんでもなく強いのに、まだまだ成長中で、

現在の藤井聡太を目標にしても、追い付くと思った頃に、又強くなっている。

『アキレスと亀のパラドックス』の様に、同時代の棋士は、永遠に追いつかない。

(今期竜王戦第六局の開催予定地である指宿白水館は、

藤井竜王が4-1で防衛すると、対局が無くなるので、

広瀬挑戦者を熱烈に応援しているハズです。)

藤井聡太とタイトル戦を戦って、防衛または奪取を為し遂げることは、

前人未踏マツタケ人工栽培のような難題だと思います。

しかし、藤井聡太も 生きもの(人間)です。(『アキレスと亀のパラドクス』も論破されます)

敗ける事もあり、いつかは、タイトルを失う時が来る。

マツタケの人工栽培も、いつかは成し遂げられるのです。

 

前段が長くなりましたが、本題の

第45回 マツタケ人工栽培究極の会  令和4年10月22日の記録です。

今回は、植野、大島、金子、小松、近藤、才村、関谷、高瀬、野村、濱崎、藤田利、藤田博、堀田、吉田、の14名参加でした。

 

10月22日は、先ずマツタケのシロに行って、マツタケの収穫から、、、

現在の試験地④〜⑤の北北東

直近50年の内で、最盛期には60ケ所もシロがあった一帯

昨年は、シロが13ケ所に減り、

今年は、さらに減って、9ケ所に、、、。

しかし、松で言えば、相生(あいおい)の松の様な

V字二股のマツタケが成っていました。

 

22日当日は、才村さん提供

丹波某所の朝採りマツタケと併せて、胞子の採取をしました。

酪酸CH3(CH2)2COOHの80PPM水溶液に胞子と子実体の傘を粉砕して溶かし

10Lのマツタケ菌液を作成しました。

それを、5〜4号試験地と、1号試験地の南の北流れ斜面に撒きました。

 

5〜4号試験地は、苦土石灰にて、土壌のPHを

PH3台➡︎PH4.5に、土質改良しています。

 

あと一つの実験では、松の1年生苗の根についている泥を水で洗い流して、

その細根に、マツタケ胞子を付けて、1号試験地の培地に植えました。

実は、個人的には、これが一番有望だと思っています。

何故かと言うと、マツタケ胞子が、生きた松の根に付く事で、

松の光合成生成物に細根の表面で接触するからです。

ここで、田中康一さんより案内して頂いた「根切り法」を転載します。

【喬木村】松茸研究会がマツタケの「シロ」人工造成へ 安全、安定的にマツタケ採取を

[ 2022年 10月 18日 火曜日 15時 ] 南信州新聞社 2022年10月24日(月)記事より

マツタケの収穫量が減少傾向にある中、自然任せから保護管理する農業型に移行することで、マツタケ採取を楽しむ文化の持続化や産業振興を図ろうと、喬木村の村民有志ら12人でつくる「松茸研究会」(池上和利会長)が「シロ」の人工造成に取り組んでいる。

2019年に村内で開かれた、マツタケ専業で生計を立て「松茸博士」として知られる藤原儀兵衛氏(伊那市)の講演をきっかけに、藤原氏のマツタケ山づくりに関心を高めた有志らが20年に発足。藤原氏のもとを視察に訪れ、人工的にシロを造成する「根切り法」を学び、村や林野庁の補助金を活用しながら実践を始めた。

シロはマツタケの本体である菌糸とアカマツの根が一緒になった塊。地中で輪状に広り、マツタケはこのシロに沿って生える。根切り法は、春に地表に堆積した落ち葉を取り除いた後、アカマツの根を切って新しい根が出るのを促し、秋に他の場所で採取したマツタケの開きを新しい根の元に24時間植えておくことで、根に菌が付き、新しいシロができるというもの。シロができるまでには5年ほど掛かるという。

同研究会では、管理が不十分となっている山林を地主から借り受け21年に試行。以前はマツタケが採れていたものの近年は採れなくなっている場所を中心に、今年は2つの山計14カ所で行い、来年以降さらに増やしていく計画だ。

同研究会の原一樹さん(69)は、間伐材や落ち葉など、かつては暮らしの中でエネルギーとして活用していたものが使われなくなり、人が山に入らなくなったことがマツタケの減少につながっていると指摘。「落ち葉が堆積しにくい山奥の急傾斜地ばかりで採れるようになり、事故の増加にもつながっている。人工的に身近な里山にシロが確保できれば、安全に安定的にマツタケの採取を楽しむことができる」と期待する。

実績を上げ手法が確立できた際には、村や財産区など他のマツタケ関係者との連携を深め、現在は有志で行っている活動を広く普及させたい構え。「イチゴに次ぐ村の代表的な農産物にしたい」とし、リニア中央新幹線の開通を見据え、都市部の需要に応えられるマツタケ観光の振興を目指す。

 

以上、南信州新聞社 2022年10月24日(月)記事より「根切り法」以下抜粋

>>>根切り法は、春に地表に堆積した落ち葉を取り除いた後、アカマツの根を切って新しい根が出るのを促し、秋に他の場所で採取したマツタケの開きを新しい根の元に24時間植えておくことで、根に菌が付き、新しいシロができるというもの。シロができるまでには5年ほど掛かるという>>>

>>>喬木村の村民有志ら12人でつくる「松茸研究会」(池上和利会長)が「シロ」の人工造成に取り組んでいる。(中略)村や林野庁の補助金を活用しながら実践を始めた。(中略)今年は2つの山計14カ所で行い、来年以降さらに増やしていく計画だ。>>>

>>>「開き」を24時間植えておく>>>

というのは、シロの菌糸から切り離された子実体からは、

胞子が24時間で、全て飛んでしまって、それ以上意味がないという事

恐らく24時間以降は、回収して食べるのです。

つまり、子実体は「ヒラキ」以降、胞子を飛ばしたら、

細胞分裂(新陳代謝で成長)する事なく、

朽ちる(プログラム通り異化が進行する)だけだという事でしょう。

我々の実験では、子実体の傘を粉砕して、撒きましたが、

これは、以前からやっていて結果が得られていません。

「結果が得られないという知見が得られた」という事で、

次の段階に進む必要があると言えないでしょうか?

胞子菌糸万能細胞子実体だけは器官です

 

昨年の施業では、胞子と子実体を全て粉砕して

「水」に溶かして松の細根辺りに撒きました。

5年前は「50PPM酪酸」でやっていたので、

5年前に対し昨年は退歩しているのではないか?と

藤田会長に申し上げて、5年振りに酪酸を使いました。

 

私の提案した胞子播種で、マツタケ菌(菌根菌)は、

生きたマツの細根と共生する為には、どこかのタイミングで、

マツタケ菌の胞子が、マツの細根出会わなければならないので、

マツタケ胞子、生きた松の根に付く事で、

松の光合成生成物細根の表面接触する』

という実験が、最も有望だと書きました。

信州の「根切り法」も同じ考え方だと思いますが、

「根切り法」が5年かかるというのに対し

1年生苗からだと、15年以上かかる(だろう)という違いがあります。

私が提案する次の施業は、①来年の4月に根切りをして目印を付けておく。

10月に入ってからは、②松の幼木の根を痛めない様に、掘り取って

根元から上は陽に当てて置く(光合成させる)

①は、信州の根切り法

②は、泥を洗い流して、根を50PPM酪酸で浸し胞子を付けてから、

地下水位の低い、陽の当たるやせたマサ土に植える。

地搔き樹幹注入PH調整を地道に行う。

 

マツタケ菌胞子と、生きた松細根が分泌する光合成生成物とは、

4億年來相思相愛の仲です。

出会ったとたんに、マツタケ菌胞子が菌糸を伸ばして、

マツの細根はマツタケ菌の好物を分泌して、ネットワークとなり、

マツのシロネがネットワークとともに伸長して、やがてシロを形成するのです。

 

根切りには、移植する際の菰樽(こもだる)をつくる(根回しする)前段階のように、

重機でぐるりを環状に堀って、土を被せて半年(この時、直根は切らずに残して置く)・・・

マツタケが成ったら、子実体の傘をモチ網の上に置いて、

胞子を、下の平たい容器に入れた50PPM酪酸に降らせて溶かし、

その胞子液を、環状の細根に撒く。

 

という事を、来年やりましょう。

根切り法がうまくいけば、

マツタケが成るのは、2028年秋です。

 

マツタケの研究の歴史では、マツタケのライフサイクルの解明(担子菌)や菌根菌一般を研究されて来ました。

植野博士他コメント欄を通して読むと、

公知の「マツタケ菌ライフサイクル」や、

「マツタケ菌とPHについて※」の概要が分かる様になっています。

先ず、マツタケ菌についての、公知の研究の概要を、共有しましょう。

 

その上で、

『胞子と光合成生成物と、何処でどのタイミングで出会うのか?』という事を

先人は、どう考えていたのか?想像してみましょう。

「根切り法」というのは、

マツタケ菌の胞子播種]の一つのだと思います。

春に、移植の際の根回しをする様に、根切りをする。

この際、木が枯れない様に直根を切らずに残しておく。

落ち葉などを地搔きして除け、表土を露出させて、土を被せる。

秋、他の場所で採取したマツタケの「開き」を

新しい根の元に24時間植えておくことで、

地表近くの浅い細い根に菌が付き

マツタケ菌と松の光合成生成物が出会い

(4億年来の相思相愛が得恋として実り)、新しいシロができる。

さて、直根はこの際(春/秋)にも、切る必要がないのではないか?

元々、マツタケ菌は、地下20センチ辺り迄に菌糸を張るので、

直根には、自然のシロでもマツタケ菌が付かないのでは?

 

 

 

PHについて、PH5.5以下では、アルミニウム(両性金属)溶出

(シュウ酸アルミや酪酸アルミニウムが電離)して、

マツタケ菌の成長を阻害する(菌に悪さをする)と考えています。

酪酸(電離度が低い)では、酪酸が緩衝液bufferとなって、

NaAl(ナトリウム・アルミニウム:阻害物質)の電離を抑えて

マツタケ菌に優しい(菌の成長を阻害しない)のでしょう。

 

記:野村龍司

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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