第14回フィールドワーク令和元年7月13日の記録

令和元年7月13日 第14回フィールドワーク の記録

京都先端科学大学の学生さんが、5名(渡辺主税・納谷駿成・森輝・遠井喬平・野原晋太郎の各氏)と、

龍大院生の西川佳佑君及び、藤田博美・藤田利幸・片上功・関谷次郎・大島敏久・柴田勝・植野洋志・小松陽三・高瀬尚文・野村龍司の全16名で

試験地3の地業(枯れ松の伐採片付け・ソヨゴの上部斬り落とし:林床に陽があたるようにする・落ち葉掻きなど)およびログハウスでのセッションでした。

マツの共生菌:イグチ(ポルチニ茸の親戚で可食らしいが、食べてみるというリスクをとる意味がおまへん)は、マツの共生菌ですが、イグチが好む環境はマツタケが好む環境よりも硝酸態窒素リッチではないでしょうか?

 

↑左から、高瀬教授・藤田利幸社長・藤田博美さん

⬆︎Young men

↓前回4月6日に植菌したコナラのホダ木の様子です。

寒冷紗の下は、、、

コナラ材の小口から、白色腐朽菌が出てきています。

最初に道管・師管を通って、菌子が拡張して行き、そのあとで、年輪を越えて拡張(腐朽)が進む様子が分かります。

これがホダ木に充満すると、子実体が出てきます。

白色腐朽菌のコマ菌(シイタケ・マンネンタケ)を打ち込んだ前回4月6日から13週経っています。

Dr.太田明曰く「日本には、腐生菌(シイタケ・マンネンタケなど)と菌根菌(マツタケ・トリュフ等)が各5,000種類づつあります」

Dr.柴田勝が仰るには、菌根菌は腐生菌の進化形で、マツタケは究極の進化形だそうです。

柴田先生は、まずバカマツタケ(菌根菌だが究極ではない?)の人工栽培を狙おうと仰っています。

 

 

腐生菌は、木材(ホダ木)や、おが屑を固めた菌床に植菌すれば、人工栽培は比較的容易ですが、

菌根菌の人工栽培は、トリュフの林間栽培(トリュフの既に生る林に同種の若木を植えて感染させて殖やす)のようにやる以外に成功例がありません

マツタケに到っては、林間栽培(マツタケの既に生る林にマツの若木を植えて感染させて、その若木を移植して殖やす)も出来ていません

藤田博美さん(案内の送付ご苦労様です)柴田勝さん(遠路ご苦労様です)

次回の開催は9月14日、次々回はマツタケの出る10月19日です。↑講義中?に携帯をいじる学生 ではなく関谷教授、隣りは片上さん、西川君

こちらを向いて立っているのは、大島教授

植野教授から、↓のような植菌(2017.12.21および2018.10.20)のやり方についての御意見がありました。

↑つまり、オガ粉培地やシルク培地という好気条件で単離培養された菌は、果たして土中の嫌気状態で、松の根に活着するのか?という素朴な疑問です。嫌気条件の恒温器もあるそうです。

大島教授曰く、mRNAの解析によると、腐朽菌がセルロースやリグニンを分解・同化する際に作り出す酵素が約20種類あって、どれがどの場面でどのように働くのか、パラメータが多すぎるとの事。

 

 

コンポスト(堆肥製造:菌が複雑混合系)だと、好気性菌と嫌気性菌は、交代します。好気性菌が酸素を消費するので、好気性菌が活発になるというそのこと自体が原因で、酸素が消費され尽くし、嫌気状態になるというのが、混合系の微生物交代遷移です。恐らく土中でも、嫌気状態になるまでは、好気性微生物の働きで酸欠になる筈です。コンポストの場合、ブロアーで機械的に送気して、好気性菌を活性化させて、一定時間送気したあとで、送気を止めると、次第に嫌気性菌が活性化するという繰り返しになり、易分解性物質(糖・アミノ酸など)から難分解性物質(セルロース・リグニンなど)を分解する菌が栄枯盛衰を繰り返します。最後に放線菌が表面に出てくるころに、弱アルカリ性になって黒い完熟堆肥になります。

古いタイプのシロアリは、セルロース・リグニンを食べますが、腸内に腐朽菌を飼っていて、その木質(セルロース・リグニン)腐朽菌が、消化を助けています。ところが、進化したシロアリは、腸でセルロース・リグニン分解酵素を分泌して、木質を分解します。恐らく、ミトコンドリアや葉緑体がそうであるように、元々別の生物だったものが、宿主の身体にオルガネラ(細胞内小器官)となって一体化したものではないでしょうか?

生命現象は、時間の関数であって、1個体の命は不可逆です。だから、異化の始まった大黒ほんしめじやハタケシメジの廃菌床から、再び子実体が発生することは無いのでは?つまり前回4月6日に、長鉢に詰め込んだ廃菌床から、子実体が発生することは、ないのではないかというのが、僕の予想です。

↑廃菌床から、子実体を取り除いて↓長鉢に詰め込む(4月6日)

次回の開催は9月14日、次々回はマツタケの出る10月19日です。

昨年10月20日は、植物園北門の待ち合せ場所にヤマボウシの甘い実がたくさん生っていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おまけ

ウルトラ・ダラー」by手嶋龍一  新潮文庫は、

北朝鮮がにせドル札を刷るという小説です、なぜか最後に主人公は、犯人を追いかけて、右京区の周山街道(R162)から高雄を過ぎ北に向って、右折して、北山杉に囲まれた細い山道を、どんどん分け入って、沢池あたりまで追い詰めて、最後に犯人(工作員)と銃撃戦をして果てるというのが大団円になっています。スリリングな現代小説なので、会員の皆様に是非読んで頂きたいです。

 

文責   野村龍司

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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