この日の参加者は、藤田博美・片上巧・藤田利幸・才村哲生・関谷次郎・高瀬尚文・大島敏久・西川佳佑・国本・野村の10名。
この日のフィールドワークは、シイタケとマンネンタケ(霊芝)とハタケシメジと大黒本シメジの植菌および土中埋設です。
シイタケはコマをコナラ材に打ち込み
⬆︎関谷次郎博士。マンネンタケは菌糸瓶からとったコマ菌糸をコナラ材に打ち込み封蠟(鍋で溶かした蠟でタネ菌を封印)します。↓
大黒本シメジとハタケシメジは、廃菌床をプランターに詰めて、さらにオガ粉を被せて、下部に土を被せました。↓
その上から、寒冷紗を掛けました。
⬆︎大島敏久九大名誉教授と関谷次郎京大名誉教授
⬆︎藤田博美氏
さて、この方法は、藤田博美氏の提案です。
マンネンタケ(霊芝)は、夏に子実体に成長するそうです。
シイタケは、早ければ秋には、やはり子実体が出てくるとの事です。
ハタケシメジ・大黒本しめじは、廃菌床を新しいオガ粉で挟んでプランターに入れて土に埋めました。
シイタケのホダ木に、土を半分被せることによって、シイタケは土から栄養(ミネラル)を吸収して、普通のホダ木栽培よりも大きくなるとのことです。
腐生菌(シイタケ)でさえ、土からミネラルを吸収する、況や菌根菌(マツタケ)においてをや!
白色腐朽菌はいずれも同じ相貌(顔つき)をしています。
㊧シイタケのコマ㊨マツタケ菌onオガ粉培地
㊧霊芝菌の菌糸埋込㊨マツタケ菌onシルク培地
↑廃菌床
マンネンタケ(霊芝・サルノコシカケ)は、僕の経験上、(蕗や蓮の葉の葉柄が偏っているように)軸が偏っていたり、笠だけで半月状になり、立木の半分生きている部分に成ることが多いです。↓霊芝
また、の植物バイオテクノロジー研究室によると
>>植物のなかには常温・常圧でチッ素ガスからアンモニアを合成できる植物がいます。その代表選手が大豆。「根粒」といわれる根に付いたつぶつぶの部分において、生体触媒である酵素の働きによってチッ素からアンモニアを合成しています。
この根粒がずっと働いてくれればたくさんの大豆が獲れるのですが、花が咲いて実が大きくなり始めると、根粒は老化してしまいます。植物バイオテクノロジー研究室では根粒の老化の原因を突き止めるため、成長段階ごとに根粒のタンパク質を分析し、タンパク質を分解する酵素「プロテアーゼ」を発見しました。この酵素は実が大きくなろうとするときに突然出現するため、根粒の老化に関係があるのではないかと睨んでいます。>>
根粒は老化するとの事。
マツタケのシロも老化するので、マツタケの成るリング
(マツの毛細根付近)は毎年広がって行き、リングの内側には成りません。
廃菌床には、ハタケシメジや大黒本シメジの菌がある筈ですが、
既に異化が始まっていて、アルコール臭がするので、
新しいオガ粉を足すだけで、子実体が成るでしょうか?
コンポスト製造の場合、醗酵基材である落ち葉や藁や剪定枝などの植物材料に、畜糞や豚尿などの窒素成分を加えると、微生物が交代で分解を進めます。
水分比やC/N比を調整して、スターター菌(醗酵済堆肥)を混ぜ、ブロアーで送気したり止めたりして、好気性菌と嫌気性菌を交代させます。
最初に糖(やアミノ酸)などの易分解性物質から醗酵して、セルロース(やヘミセルロース・リグニン)などの難分解性物質分解をする頃に、70℃まで温度が上がり、その後でリグニンを担子菌類が分解します。
↑堆肥化過程における有機物分解と微生物変化の模式図 by Dr.藤原俊六郎
堆肥醗酵で興味深いのは、それぞれの菌が、出番を待っていて、最適な環境になると活躍して、その活躍そのものが原因で環境が変化して、次の菌と交代遷移して行くことです。
日本酒醸造でも、アルコール濃度が16%になると、麹菌の醗酵が止まります。
堆肥のタネ菌の中に、菌が数千種類居ますが、交代遷移していく中で、勢力が衰えていく菌も、死滅したりはしません。
足利尊氏や足利義昭が、一旦、鞆の浦に雌伏した後に復活したように、
劉邦が項羽にやられて、一旦敗走して捲土重来を期したように、
(伊豆で幽閉されていた)源頼朝の挙兵に呼応して義経が挙兵し 源氏を再興したように、(6けたの法則)
片隅で、じっと息をひそめていて、ひたすらチャンスを待ち、機を見て勃興するのです。
文責 野村龍司
藤田利です。
先日の関谷先生のPHの数値に興味有?
試験地の松茸の発生場所と一般の松山全体のPHが異なる所、10月に先生方に深く探って頂く。
https://earthor.jp/blog/2019/01/16/4066
に、酸性雨について書いています。
文中にある「酸性雨の目安がPH5.6」というのは、空気中CO2濃度世界平均(405ppm)でも、CO2が雨に充分に溶けると、PH5.6(炭酸)になるので、もし5.6以下なら、CO2以外の原因(NOx:硝酸やSO2:硫酸)による酸性雨の影響が疑われるということになります。
「炭は地球を救う」宮下正次 という著書で宮下さんは、間伐材などを山の炭釜(穴を掘ってトタン板と土を被せて、間伐材を蒸し焼きにするというシンプルな構造)で炭にして、土壌に撒くことを実践し、酸性雨を中和して、山を復活させてきました。
著書の中で、炭を撒いた山に実際に針葉樹林やマツタケが復活しています。
藤田博美さんの説では、炭はマツタケと適わないとの事ですが、経験的な最終結論でしょうか?
宮下さんは、2016年11月に亡くなりました(享年72)が、酸性雨による針葉樹林の大量枯死対策として、間伐材で作った炭を撒くのは有効です。
個人的発想ですが、酸性雨対策で「炭は地球を救う」のであれば、酸性雨の原因である石炭発電や製鉄の副産物つまり、アルカリ性のコークス灰(フライアッシュ)を、山に運んで撒けば、酸性雨を中和するのではないかと考えます。
石炭産業から、環境修復税として、フライアッシュを山に撒く費用を捻出させたらいいのではないかと考えています。
https://www.nikkei.com/article/DGXNZO18949580W0A121C1TJ1000/