第32回マツタケ人工栽培究極の会 令和3年5月15日の記録

本日は、5月15日。

本来なら、京都三大祭りの内 最も歴史のある(枕草子にも出てくる)

葵祭の日ですが、昨年に続き、コロナ自粛の為、葵祭は中止です。

本会は、密集ではなく疎散なので、

関谷さん、大島さん、小松さん、藤田博美さん、藤田利幸さん、吉原さん、

高瀬さん、野村、そして竹内さん(京都先端科学大学4回生)にて、

例会を行いました。

本日の作業はマツタケ山の整備と経過観察です。

天気予報では、夕方から雨でしたが、

PM2:00には散会したため、雨には遭いませんでした。

何と、近畿地方は翌 5月16日に入梅(観測史上最早

昨年比25日早く/例年比21日早く)でした。

梅雨前線は、太平洋高気圧とシベリア気団とのせめぎあいですが、

入梅が早い分、必ずしも、梅雨明けも早いとはならないようです。

地球温暖化の影響で、北海道にも梅雨が来るかもしれません。

競馬のクラシック(オークス、ダービー)も今年は梅雨の開催となりました。

 

R2.7.13に整備した場所の経過観察と資料配布

標高440mの尾根の脇。林床に陽が差して、マツタケの圃場としてはマズマズのようです。
1年10ケ月の間に、ずん切り棒状態だったソヨゴの葉が繁っていました。小松さんの左側の草のようなものは、ツツジの萌芽です。
京都先端科学大学4回生の竹内さん。進学がきまっているそうです。その後方は、22ケ月前の伐採枝。

 

 

標高420mの、前回根回しをしたあたりに降りてきて、昼食。

松の枯損木を伐採します。

枯損木の画像、前回4/10画像の中心あたり、その右上はヤマザクラの花です。
↑前回4/10の画像
↑松枯れの木に、ウバタマムシ発見
番(つがい)のようです。
尻の先が割れている小さい方が♂
こちらが♀

 

僕(野村)は以前、吉田山でウバタマムシを見つけたことがありますが、

ヤマトタマムシと、色模様が違うだけで、形状が全く同じです。

ヤマトタマムシよりも、お目にかかるのがレアな気がします。

ウバタマムシは、マツの枯木に産卵しますが、

マツノザイセンチュウで枯れたかどうかは、関係ないのでしょう。

むしろ、(松枯れ・カシナガ対策で)枯れ材を集めて、枯木材を

殺虫剤で燻蒸することで、ウバタマムシやカミキリの産卵材を駆虫する事が

自然なサイクル(セルロース・リグニン・ヘミセルロースの分解)や、

自然環境を破壊しているように思います。

そして、弱ったマツから順に、センチュウに侵され立ち枯れすることは、

ウバタマムシの産卵材・揺籃材を供給することなので、

自然なのではないかと、直感しましたが、如何でしょう?

マツタケが相利共生なのに対し、センチュウは偏利共生(寄生)です。

ウバタマムシの成虫は、10月まで活動して松皮に産卵するので、

もしかしたら、マツタケ胞子散布を媒介している可能性があります。

セミの幼虫も、最低気温<地温=15℃になるまでに、幹を這って、根を伝い

地中に潜りこむ際に、マツタケ菌を身に纏って根に運び、

根に噛み付くことで、マツの根をマツタケ菌に感染させるのかもしれません。

甲虫(カブトムシ・タマムシ・カミキリ等)で、木材で幼虫期を過ごす者

のうち、菌類(木材腐朽菌など)と共生しない者が居るのでしょうか?

クワガタは、ヒラタケや霊芝がダイジェストした木材で育ちます。

生(ナマ)の木よりも、朽木(霊芝材)を好むのです。

芯材は、キセロゲル(寒天棒のような固体のコロイド)で、維管束の内側は、

立木が枯死した時から、木材腐朽菌の餌食です。

木材を、鉄筋コンクリートに例えると、セルロースが鉄筋(骨)で

ヘミセルロースが粗骨材(石)、リグニンがモルタル(骨材のツナギ)で、

いずれも、高分子の炭水化物ですが、木材腐朽菌やシロアリなどの

昆虫の消化酵素でないと分解できません。

僕にとっては、本日最大の収穫が、ウバタマムシの出現でした。

 

 

昼食をとったあとで、マツの枯損木を伐採しました。

↑関谷先生が、伐採や枝払いに活躍されていました。
↑年輪を数える吉原さん右と高瀬先生左。オレンジ色の札には、R2.3.7とあり、14ケ月前にマツタケ菌を接種したマツです。
↑藤田博美さん
松ボックリをつけ始めたばかりの16才。マツノザイセンチュウにやられた芯材は、一部が青くなるようです。↑の10:30~1:30あたり。谷側・西(愛宕山)側。

 

 

次回7月24日には、梅雨明けして、ヤマトタマムシが

エノキの樹冠を飛び交っていることでしょう。

野村龍司 記

第32回マツタケ人工栽培究極の会 令和3年5月15日の記録」への2件のフィードバック

  1. 皆様、お疲れさまでした。ウバタマムシ見たかったです。野村さん、今年もタマムシの会、楽しみにしてます。
    あと、松食い虫にやられたら青くなるのですね。
    勉強になります。
    近所の山の松も何本か松枯れがありました。結構な割合で松枯れしています。
    今度、伐採処理された後の切り口が青くなってるか見てみます。次回は参加させていただきます!!よろしくお願いします。

  2. 田中さん、ウバタマムシは、ヤマトタマムシとは性質が異なり、掌に載せると、脚を縮めて死んだフリをします。
    発生時期も、丁度マツノマダラカミキリ(マツノザイセンチュウの中間宿主)が、松皮から羽化する今頃(5月)だそうです。
    写真を撮ってリリースしましたが、ヤマトタマムシと違って、松葉を与えておくだけで、拒食症にはならない(閉所ストレス耐性がある)そうです。
    ヤマトタマムシとウバタマムシが分化したのは、数万世代(年)前ぐらいでしょうか?
    形状が全く同じです。どちらが幹でどちらが枝なのでしょう?
    性質がゆったり落ち着いていて、保護色も大人しめの、姥タマムシの方が原種で、大和玉虫の方が特化して進化している様な気がします。
    アゲハがキアゲハ(セリ科に産卵する)とナミアゲハ(かんきつ類に産卵する)とアオスジアゲハ(クスノキに産卵する)という棲み分けをしだしたのも
    せいぜい十万世代(年)前と思うのですが、昆虫はウイルスほどではないにせよ、変異(メタモルフォーゼ)がホニュウ類よりも迅速です。

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