第33回マツタケ人工栽培究極の会 令和3年7月24日の記録

近畿地方の梅雨入りは5月16日(昨年比25日早い/平年比21日早い)、

梅雨明けは7月17日(昨年比15日早い/平年比2日早い)でした。

※9/1に気象庁は、近畿地方の入梅を6/12ごろと修正しました。

梅雨明け1週間、一年で最も暑い時期です。

ウィンブルドン(テニス 6~7月)でも、全米オープン(ゴルフ 5月)でも、

スポーツの世界大会は、それぞれの国の一番佳い観光シーズンに開催して、

世界の国々から来てもらう、というのが「おもてなし」の基本です。

東京なら、新緑の5月または 台風も収まった10月のハズなのに、

東京2020は各種(商業五輪・コロナ禍)の作用で、酷暑の只今開催中です。

 

雲は夏の雲、京都気象台発表が36.6℃で、山の上(標高420~440m)でも

気温35℃ぐらいあったのではないでしょうか?

本日の参加者は、関谷次郎先生、植野洋志先生、大島敏久先生、小松陽三さん、吉原孝次さん、藤田博美さん、高瀬尚文先生、田中康一さん、野村龍司の9名でした。

 

前回5月15日以降、大島先生が、一人で藪の刈り払いをした場所を、

みんなで、伐採枝や落ち葉など片付けて、黄色のPPヒモで、4分割しました。

大島先生が、数週間かけて、藪を刈り払いして、伐採枝などが大量に折り重なっています。手前は、日本農芸化学会の重鎮:関谷先生

   

本日のマツタケ施業地は、藤田林業の北山台杉の圃場の少し上、標高440mあたりの、伐採木片付け、地搔き、PH測定 他です。

 

 

林床整備した場所を4分割して、その一部に

伐採木片付け、地搔き作業は、9人掛りで3時間かかりました。

これを、一人で伐採した大島先生の気力・体力・情熱に脱帽です。

 

 

 

さて、

以前のエントリーにて、酸性雨についての論考があるので共有します。

酸性雨とマツタケとマツ材線虫病

また、

「マツタケ「子実体」から、シロが再生できるのか?」

マツタケ人工栽培問題 そこに解は あるんか?

研究は have a Vision とWork hard と、どちらが欠けてもダメです。

 

 

 

 

植野先生が久しぶりの参加です。

先生の最近の研究成果として、の尿から、鹿やイノシシの忌避物質を、

4種類抽出し、それを合成することで、

山際の耕作地に置いて、揮発させると、

山沿いの畑の、野生動物の食害を防ぐことができるそうです、

直ぐに揮発して、効果に持続性が無くては、商品化できないので、

パラフィンなどを混ぜて、揮発を遅らせることで、

商品化できそうだということです。

明治時代に絶滅した、食物連鎖の頂点だった肉食獣オオカミですが、

全く、世代ギャップのある現代の鹿やイノシシやネコにも

遺伝子に刷り込まれていて、絶大な忌避効果があるそうです。

映画「おおかみこどもの雨と雪」にも、畑にオオカミ子供が

オシッコをして、イノシシの食害を避ける話があります。

おそらく、人間同様、ヒグマやトラやオオカミも、

チッソ平衡(摂取するチッソと排泄するチッソが等量)にあるので、

肉食獣(主食であるタンパク質のアミノ酸にはNH2が含まれる)の尿には、

チッソ化合物が大量に含まれ、縄張りを主張(マーキング)する

アイテムとして、強烈な臭いを放つのでしょう。

マーキングには、ムダな争いを避けるという意味があります。

食物連鎖の頂点にいたオオカミが絶滅したことで、

日本列島では草食動物の淘汰圧が下がり、

シカやイノシシが異常に殖えています。

(ヒグマのいる北海道を除く、青森県以南のツキノワグマは肉食ではない)

最近では、豚コレラ:イノシシの伝染病の蔓延で、

イノシシは随分減ったそうですが、、、。※2.

 

 

もう一つ、昨今注目のPCRについて、大変興味深い話をお聞きしました。

従来、PCRでは、反応温度を90℃まで、上げる必要があり、

その際に酵素が失活してしまうことが、難点でした。

連続反応ができなくて、ある種のDNAを増幅させる酵素のために、

一旦温度を下げる必要があったのですが、

タイタニック号を引き上げる際に、大西洋の海嶺の生物

ユノハナガニ  チムニー周辺にすむ生物は、ほかの海底では見られないものが多いですが、ユノハナガニもチムニー周辺にしか見られない生物の一種。深海の暗闇で目が退化しています。

から、超好熱菌を採取して、そこから、90℃の高温においても失活しない

熱耐性の酵素を発見した。

これをPR(ポリメラーゼ反応)に使ってCR(連鎖反応)を起こし、

PCRを飛躍的に進歩させる手法が、

1983年にキャリー・マリス(Kary Mullis)によって発明され

彼はノーベル賞を受賞した。

超好熱菌によって、PCR技術が飛躍的に向上した。という話をされました。

流石、植野先生は滞米20年のバイオケミストリーの大家です。※3.

 

 

 

※2.アメリカの国立公園で、一旦絶滅したオオカミを再導入する(人為的に放す)ことによって、山の草木のシカの食害(殖え過ぎ)を減らし、洪水を防いだという話もあります。

※3.大島先生の専門は、好熱菌です。

 

 

 

 

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記:野村龍司

一部修正:田中康一 2021/09/12

第33回マツタケ人工栽培究極の会 令和3年7月24日の記録」への3件のフィードバック

  1. 野村さん、記録ありがとうございます!
    PHの変化でどのような結果になるか何年後かが楽しみです。
    大島先生!!お供してお手伝いしますのでお声がけお願いします!!

    別の話題で恐縮ですが、
    DeepMind(AIの会社)がタンパク質の構造予測するAIを作ったとありました。実用にはどのくらい耐えうるのか不明ですが、興味津々です。
    https://deepmind.com/blog/article/putting-the-power-of-alphafold-into-the-worlds-hands

    1. かつて、インフルエンザワクチンを一人分作るためには、ニワトリの有精卵が一ケ必要でした。
      今回、世界で百億回分以上作られた、新型コロナウィルスのワクチンは、mRNA(転写核酸)を使って、大量生産する方法です。
      >>>https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/world-situation/detail/hungary.html    by Dr.カタリン・カリコ 「カリコ博士らの研究はmRNAワクチンの開発にとって、最も重要なものだった。ウイルスとの闘いを根本から変える驚異的な成果で、今後はこの技術を使って多くのワクチンが迅速に作り出されるだろう」と評価されている。>>>
      つまり、抗原となるタンパク質を作る核酸:virusないし抗原が僅かでもあれば、炎症を弱くした抗原を転写(コピー)によって大量生産できるのです。PCRは技術は、日進月歩です。
      タンパク質は、アミノ酸の三次元の組み合わせなので、AIが実在しないタンパク質の構造を予測することは、可能だろうと思います。
      実在するタンパク質の中でも、枯草菌(納豆菌を含む)のタンパク質は、
      かなりの高温に耐えられるし、クマムシのタンパク質も高温高圧耐性があって、面白いハズです。
      当然ながら、生物兵器としてではなく、再生医療などに使うことを期待します。
      世の流行りは、猫も杓子もSDGSですが、持続可能なエコロジカルなサイクルの構築には、
      殊に、バイオマスの分野では、燃焼してタービンを回して発電するばかりではなく、
      バイオマスを再利用するために、コンポストの技術およびスカベンジャー(分解菌叢)が必要だと思います。
      それによって、食糧を生産するという経路も必要です。
      マツタケの研究に、大した経済効果は期待できませんが、、、

  2. 9月1日(水)、気象庁は夏の天候のまとめを発表しました。その中で、今年の梅雨入り、梅雨明けの時期に関して見直しを行い、近畿と東海の梅雨入りが速報値に比べて約1か月遅かったとしています。
    関東甲信は梅雨入り、梅雨明けとも変更なし
    梅雨入りと梅雨明けに関して、気象庁はそれまで天候経過と1週間先までの見通しをもとに、速報値として発表しており、後日、春から夏にかけての実際の天候経過を考慮した検討を行って、確定値としています。

    近畿と東海は当初、5月16日に梅雨入りと発表していましたが、5月下旬から6月上旬にかけては比較的晴れる日があったことなどを考慮し、近畿は6月12日頃、東海は6月13日頃に変更しました。近畿は5月16日の梅雨入りだと統計開始以来、最も早い記録でしたが、幻となっています。>>>https://news.infoseek.co.jp/article/weathernews_202109010165/

    関東甲信は梅雨入り、梅雨明けともに当初の発表と変更はありません。
    気象庁の「夏の天候」によると、2021年は、九州・中国・四国では、5月中旬に早くも雨のシーズンに突入しました。九州北部と四国では、気象庁が統計を開始した1951年以降で最も早い梅雨入りとなり、四国の梅雨日数は68日間、九州北部でも63日間と長梅雨になりました。ただ、梅雨の時期の地域平均雨量は、九州北部では平年の半分を下回り、四国でも8割と、平年を下回っています。

    また、近畿や東海については、梅雨入りの時期が大きく修正され、速報値と比べ確定値では、近畿は27日遅く、東海は28日遅くなりました。梅雨入り発表の段階では、近畿は「統計史上最も早い梅雨入り」、東海も「統計史上2番目に早い梅雨入り」でしたが、その記録は修正によって幻となりました。

    このような1か月近い修正は非常に珍しく、5月中旬のぐずついた天気を「梅雨本番」と判断するか「梅雨のはしり」と判断するかといった見極めが、2021年は特に難しかったと考えられます。梅雨前線の振る舞いはその年によって異なり、梅雨入りや梅雨明けが早い年もあれば、遅い年もあり、活発な年もあれば、空梅雨の年もあります。

    2021年は、梅雨入りや梅雨の時期の降水量、梅雨明け発表後の寒気流入による不安定な天気など、例年と比べ「異例」な梅雨であったと言えるでしょう。>>>https://www.msn.com/ja-jp/news/national/%e7%95%b0%e4%be%8b%e3%81%a0%e3%81%a3%e3%81%9f%ef%bc%9f%ef%bc%92%ef%bc%90%ef%bc%92%ef%bc%91%e5%b9%b4%e3%81%ae%e6%a2%85%e9%9b%a8/ar-AAO0zsb?ocid=msedgntp

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