文書や画像資料を電子化して、CDRにデータとして移す際に、
初期化(initialization)を行います。
何でも書き込みが出来るようにすることが、CDRの初期化です。
一方、どんな臓器にもなることのできる細胞が、受精卵の初期の細胞です。
どんな臓器にもなるので、万能細胞(または多能性幹細胞)と呼ぶこともあります。
細胞の初期化は、英語では、Cell initializationです。
それに対し、細胞の分化は、Cell differentiationです。
あらゆる可能性を持っている初期細胞は、
心臓や神経や筋肉や血液の細胞に分化していくのです。
一旦、細胞の分化が始まると、後戻りすることはありません。元来、不可逆です。
ところが、クローン動物を作る際や、臓器(パーツ)を交換する際などに、
細胞の初期化(あるいは、多能性幹細胞)が必要になります。
自然の状態では、後戻りできないものを、初期化する必要があるのです。
細胞の初期化が可能になれば、トカゲのしっぽのように、
人間のパーツ再生(再生医療)が可能になるかもしれません。
ガンで切除した内臓なども、本人の遺伝子を使って再生可能になるかもしれません。
まさに、夢の医療です。
以上の如く、細胞の初期化と分化は正反対の進行であること及び、
「同化」と「異化」が正反対の代謝であるということを踏まえて、、、
マツタケの生活環(ライフサイクル)の中で、「異化」が始まっている
「子実体」を砕いて、酪酸を加えて、試験地に撒くというやり方は、
大黒本しめじ(およびハタケシメジ)の廃菌床にオガ粉を加えて、
プランターに詰めて、寒冷紗を被せた2019.4.6の施業から、進歩していません。
廃菌床にオガ粉を補充するだけで、新たに子実体が発生するなら、
そも、M穂農林は廃菌床を分けてくれないだろうし、
マツタケのシロで言えば、廃菌床はリングの内側部分でしょう。
廃菌床では「異化」が始まっていて、「異化」は、付加逆な進行だと思います。
ここのところ、つまり、菌の器官としての体内時計は、生命の根源的な機能です。
人間で言えば、「子実体」は最晩年の生殖器(最後の華)です。
子実体というのは、成長途上の増殖細胞ではなくて、
成熟して子孫(生殖細胞:胞子)を作り出す器官です。
子実体は、マツタケの生活環の最晩年(最後の華)です。
器官に分化している以上、そこから植物の栄養細胞(芋やムカゴ)のように、
それぞれ成長する機能を残しているとは、私には思えないのです。
それに対して、器官ではないガン細胞には体内時計が無い。
条件が調えば、いつまでも増殖するのです。
コンタミを排除して、無菌状態で、温度・湿度・PH・栄養を調整するなら、
子実体も増殖するでしょうが(死体でも髪の毛や爪が少々伸びる)
条件が整い過ぎなので、自然状態では、あり得ない筈です。
子実体が成長するような、恒温器(インキュベーター)として、
クリーンルーム(無菌室)を作って、室内に塵埃が侵入しないように、
正圧(1気圧以上)にして、温度・湿度・PH・栄養の各条件を整えるだけで、
クリーンルーム建築費用は最低2億円程度必要です。
自然は真空を嫌う(byアリストテレス)ので、無菌室は難度が高いです。
また、これまで無菌で増殖したマツタケ菌は、子実体に分化していません。
加えて生きたマツの根と土壌がないと分化しない事は公知の事実です。
増殖したマツタケ菌に対し、子実体に分化するトリガーは何なのか?
タカラバイオPCR反応により、DNAを解析して、そのトリガーを探す
というような、製薬大手のような資金を投入できないこともあり、、、
①生きたアカマツの根っこを、継ぐというやり方
example藤や桜の老木の再生は、若い木の根を堀り取ってきて接ぐ
これは、根=Root、上部=Topとした場合、youngR+oldTですが、
oldR+youngTでは、ダメです。
「櫻守」 by 水上勉では、真如堂の縦皮桜の老木の台木に、
丹波出身の庭師弥吉が若木の芽を接いで再生するのですが
Fiction:ウソだから成功したことになっているのです。
②既にマツタケの成る林床(シロ)に新たにアカマツの若木を植えて、
細根同士を絡ませるというやり方
(トリュフの人工栽培がこんなやり方)は、如何でしょう?
子実体や胞子からではなく、根圏の方から、攻めるというアプローチが、
近道ではないでしょうか?
ガン細胞は器官ではないから、無限に増殖するのです。
器官である子実体は、勝手に増殖しないと思います。
これまでの人工栽培研究では、マツタケを、シイタケやハタケシメジのような
腐生菌と同じように扱っては、失敗してきたのではないのでしょうか?
誠に僭越ながら、根圏から不即不離にアプローチしないと、
徒に時間を浪費するだけではないかと思います。
↑篠山市が、マツタケ復活の予算を組んでいます。
文責 野村龍司