第25回マツタケ人工栽培究極の会 令和2年9月12日の記録

第13回人工栽培究極の会H31.4.6(平成最後の月)では、

シイタケ・霊芝(レイシ)のそれぞれコマ菌をホダ木に打ち込み、

大黒本シメジの廃菌床を鉢に入れて、木材腐朽菌の栽培実験を始めました。

コマ菌を打ち込む穴を穿孔する。 関谷教授 2019.4.6
コマ菌を打ち込んだ後を封蝋。2019.4.6

第14回フィールドワーク 令和元年7月13日

時(コマ菌打込み後3ケ月)では、菌糸が木口に出ているのが見えます。↓

↑白い部分がシイタケの菌子ですが、2年ぐらいかけて菌が、ホダ木全体に充満しないと、子実体は出てきません。2019.7.13
第15回マツタケ人工栽培究極の会 令和元.9.14

の時の写真が↓で、2ケ月前 2019.7.13と殆ど変化がありません。

2019.9.14 長鉢は「大黒本しめじ」の廃菌床にオガ粉をつめたものですが、廃菌床に、新しいオガ粉を入れただけで、子実体が、出るのでしょうか?菌根菌(共生キノコ)のリングの内側みたいなものではないしょうか?つまり、菌床もシロも老化するので、子実体は成らないのでは?

今回、巨大な霊芝が出ていました。

2020.9.12 ホダ木を土に埋めることで、子実体が巨大になる。
2020.9.12 子実体が巨大化するメカニズムは、保湿がキーなのか、土中ミネラルが触媒として成長を促進するのか、土中の真菌が抗生物質として他の菌の混入を抑制するのか、冬季の地温が安定している為か、不明です。

 

 

令和2年9月12日

天気予報では降水確率が高く、それでも「雨天決行」を決断しましたが、

いい天気になりました。

マツタケ発生環境整備として、アカマツの林床整備です。

試験地は愛宕山を望む南西向きの斜面で、マツタケにとって好条件です。

夏は、「山滴る」
まだまだ、最低気温が、20℃以上ありますが、19℃以下になると、マツタケのシーズン到来です。
2020.9.12 ソヨゴの切株から、萌芽しています。

↑前回、第21回マツタケ人工栽培究極の会 令和2年3月7日にて、

マツタケ菌を接種した赤松↓

↑2020.3.7植菌した時の状況

赤松について議論

 奥の森を切り開くぞ!!

松を残して、ソヨゴ・サルトリイバラ・ツツジ・アセビなどの

灌木を伐採して片付けます。

真っ暗だった林床に陽が射すようになりました。

↓お昼の時間です

お弁当を食べましょう

更に切り開いていきます

けっこう奥の方まで開きました

ちょっと休憩

 

赤松の単純林で、いかにもマツタケの出そうな林ですが、

恐らく、腐植を除去する為に、潅木の伐根までやった方が良いハズです。

地掻き(落ち葉の掻き取り)と植菌は、次回以降でやります。

さて今回は、参加者が8名で、学生参加ゼロでした。

世間ではコロナ禍、学生はリモート授業、勤め人はテレワーク・・・

という言葉が定着し、二度と以前の状態に戻ることは無いと言われます。

マツタケ人工栽培究極の会の参加者も、動機や取り組み方が、様々です。

僕(野村)が、感じたのは、教授の3名(高瀬、関谷・大島)の方々の

揺るぎない参加姿勢(探究心)です。

そして「もし、自分が学生で、当会に誘われていたら、、、」という

シミュレーションをしてみましたが、教わることは多いものの、

目前に、学業・遊び・就職・大学院進学・恋愛など必須科目山積で、

当会(任意科目)への、継続参加は、中々大変だと思いました。

マツタケ人工栽培究極の会は、

2017年7月に発足して、中止回5回をカウントしても、25回(開催20回)です。

その19回/20回に参加している僕は、今回 昼食時、

大島先生にPCRや枯草菌の小講義を受けました。

やはり、リモートではない セッションをしないと、質問もやりにくいし、

彼らの最先端の智慧を、もっともっと引き出さないと

人工栽培に対しての前進がないと感じました。

後列右からT藤田、高瀬、関谷、野村、前列左から小松、H藤田、大島

小松さんの足元のオレンジ色の札は、前回3月7日に植菌した目印で、

50%の確率で菌根になりますが、

シロの形成まで到達した前例がありません。

菌根⇒シロの形成というトリガーは何なのか?

僕は、松の木に対するマツタケ菌根の占有率に閾値があると考えています。

マツタケの子実体は、マツタケ菌とマツの根の物質交換が、

根の先端だけでなく、松葉の先の光合成生成物まで、木全体を捲き込んだ、

インフルエンザ感染症の咽喉の腫れ物(炎症)のようなものだと想像します。

つまり、菌根は無症状陽性者(キャリア)、

シロは、菌が全身に廻った重症感染者(サイトカインストーム状態)です。

前列左から、小松、H藤田、大島、田中、後列左から関谷、高瀬、T藤田

皆様、お疲れ様でした!!

 

第25回マツタケ人工栽培究極の会 令和2年9月12日の記録」への3件のフィードバック

  1. 疑問 マツタケの子実体のでき方
     
     自然界で赤松の木の周りにマツタケの子実体ができています。ここに、シロの形成ができたものとして、そのマツタケの子実体ができ方について、以下のことを単純に考えています。

     一本のマツの根の周囲にマツタケの胞子が発芽してシロが多数できるものとします。
    ①一個のマツタケの胞子が発芽して一つのシロできます。このシロからマツタケ子実体が一個できる。単純なメカニズムです。
    ②また、一個のマツタケの胞子からできた一つのシロが成長する。そして、隣のシロとぶつかり合ってマツタケの子実体ができる?。
    ③ ②のぶつかり合ったシロが、別個のマツタケ子実体由来の胞子からできたものである場合。

     皆様方はどの様にお考えでしょうか。小松陽三

  2. 小松さん
    書き込みありがとうございます。
    もっと多くの方にも、書き込みをお願い致します。
    会員の方で、セッションに参加できない方には、ログインIDとPWを発行します。
    nomura*earthor.jp の*を@に代えて、野村宛メールをください。
    ①パソコンまたはi-phoneから、https://fungus.earthor.jp/wp-admin/ にアクセス
    ②ログインIDとPWを入力  Enter
    ③ダッシュボードが開くので、左タテに並んだ上「ピンマーク」の所から、投稿
    あるいは、投稿一覧の過去の投稿から「表示」にして、書き込み編集、コメント可能です。

    僕も疑問を提示します。
    マツタケの菌糸は、単核(1核)のものと2核のものとがあり、核(性みたいなもの?)の種類がA,a,B,bと4種類あるらしい。
    単核なら4種類であり、2核ホモでも4種類、2核ヘテロなら6種類の、全14種類の組み合わせが考えられる。
    単核があるということは、無性生殖するということです。
    胞子はすべて減数分裂して単核なんでしょうか?それとも、2核の胞子があるのでしょうか?

    ↓参考PDF  まつたけ山復活させ隊 吉村文彦氏による
    http://kinkiagri.or.jp/activity/Lecture/lecture20190606-02.pdf
    のP7では、
    ライフサイクルで、一次菌糸・二次菌糸を図示し、
    P9では、
    相利共生で緊密な菌根性があるとし、
    P21では、
    腐生性⇒奇生共生⇒片利共生⇒相利共生(マツタケ)
    菌根共生(マツタケ)⇒フランキア共生⇒根粒共生(バクテロイド)というMapがあります。
    マツタケは、腐生菌よりも片利共生菌よりも進化している事が理解できます。
    P29では、
    「重機を使って潅木の伐根」までやって、腐植を徹底的に除去し、ほぼ裸地にして、
    若い感染松を植えるだけで、5年ぐらいでも、マツタケ山は復活する!とあります。

    また、高瀬教授の大学のHPで、以前、「【根粒】ですら老化する、いわんや【マツタケのシロ】をや!」という記述があったように思うのですが、、、。
    マツタケは、ウイルスと異なり、生物なので、ライフサイクルがあって、老化時計があるのだと思います。

    ↑のことは、大体、公知の事実なので、特別に新しいことではないのだと思います。

    小松さんへの答えになっていないかもしれないので、ブログを別途更新しました。

    https://fungus.earthor.jp/archives/1377

    野村龍司

  3. 野村様の疑問に(答)
    ①胞子は発芽して1核性の一時菌糸を作り
    ②異性の菌糸と融合して二次菌糸となり、
    ③松の細根に菌根を形成し、
    ④子実態を形成し、成長後、キノコのヒダに担子胞子を形成する。⑤胞子は離性で菌体はヘテロタリズムであることが特徴。
     この見解は、富永・米山共著本から写しです。なお、写本は昨日送付しましたので、参考にしてください。

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