第30回マツタケ人工栽培究極の会  令和3年3月6日の記録

週間天気予報では大雨。。のはずでしたが、

日本一の晴れ男、藤田博美さんのおかげで作業が出来ました。

本日は、南禅寺、野村別邸トナリ、小川さんが管理する

育成用バックヤードに移植した松に、マツタケ菌の接種を行います。

参加者は、小川清さん、小松陽三さん、才村哲生さん、関谷次郎先生、

高瀬尚文先生、野村龍司さん、藤田博美さん、吉原孝次さん、

と私:田中康一、

そして、本日、初めてご参加下さった『マツタケ山復活させたい』の

内田正明さんと、後藤さんです。全11名の参加でした。

藤田利幸さんは国会議事堂に、北山台杉の納品と剪定整枝の為、

本業で出張です。

 

 

 

まず、マツタケについての情報交換と、本日作業の確認です。

 

11月21日に移植した松が、衝撃の全枯れ!!松はむずかしい!!

松の抜き方がよくなかったのではと、引っこ抜いてではなく、土と一緒に移植したほうが良かったのではという意見もありました。

そこで、小川さんから、黒松でもマツタケは生えるならということで、元気なクロマツとアカマツを、ご提供いただきました。

 

根切、根回しされて移植前提で育成されている松たちは根の直径が1mに満たないのに元気であるという。

1つ目のアカマツの根っこの白根の発根具合が、いい感じ!!

2つ目の赤黒(アカグロ:赤マツと黒マツの中間種)の根樽は、

↓腐葉土が多く、白根が少ないので今回は接種しません。

この時期だけに見られるマツの白根しろね

「白根(しろね)」は、清浄で無菌vulnerableという印象です。

いかにも、マツタケ菌に感作する受容体receptorが、露出していそうです。

ならば、培養マツタケ菌糸(菌根菌)接種の、千載一遇のチャンスです。

以前、今海さんが、和知では、

『マツタケ山の整備には、マツ以外のツツジなどの落葉樹は残して、ソヨゴ

・アセビなどの常緑樹は皆伐するというやり方でマツタケが充分出る』

と仰っていました。

つまり、落葉樹が、葉を落として光合成生成物がなく、

ひたすら芽吹きにエネルギーを集中しているこの時期に、

常緑樹であるマツが、白根を伸ばして、落葉樹の根に先着する。

それが、マツタケのシロの基になるのです。

①落葉樹は落葉中の冬に、光合成生成物が無いので、根を伸ばせない。

②マツは常緑なので、2~3月のブルーオーシャンを狙って、白根を伸ばす。

という2段の仮設をたてました。

その3段目の結論として、

③落葉樹は、マツタケ菌の宿種であるマツの細根(白根)のジャマをしない。

のだと思います。//

上の今海さんの、マツタケ山の整備方針の、裏づけとなる理論です。

僕(野村)は、学者ではないので、これの証明はやりませんが、

落葉樹は、マツタケの邪魔をしないという事に納得できます。

マツ常緑(陽)樹と落葉樹と常緑(陰)樹が混在する場合、

落葉樹<マツ:常緑(陽)樹<常緑(陰)樹の順で強勢なので、

最後に、常緑(陰)樹が極相を形成するのです。

 

 

関谷先生、藤田徹さんに準備して頂いた接種菌を根に巻き付けます。

関谷先生培養のシルク培地のマツタケ菌糸(2核)
藤田徹さんがマサ土で採取培養したマツタケ菌糸(2核)

ルートン(発根促進剤)
ルートン(発根促進剤)

 

白根にルートンをまぶして、培養菌糸を巻きつける。

接種後にマサ土(真砂土:花崗岩の風化土)を被せて軽く踏んで完了!!

上のマサ土の空隙率は15~20%ですが、マツタケ菌(好気性)にとっては、

空隙が必要で、腐植(コンタミ:不要な菌が多く、栄養過多)は不要なので、

この土が最適で、灌水(水遣り)は不要です。

むしろ、このあたりの地下水位が-0.7mと高いので、

少々、盛り土状態で乾燥気味のほうが、根が長くなり

マツタケがよく出る、山の尾根の状態に近いはずです。

第3回(まあ出んやろね)でも第14回でも第19回でも、

根の環状剥皮をやって、培養菌糸を巻きつけました。

しかし今回は、環状剥皮(ひと皮残す)して巻きつけるやり方ではなくて、

今の時期(2~3月)の白根(しろね)に植菌するやり方です。

少しだけ進歩したような気になりますが、マダマダ、手応えがありません。

僕は、この日の白根にシルク培養菌を巻いた状態の断面に、

透明アクリル板をあてて、菌根(シロ)形成の

経過観察ができないものかと思いました。

来年2022年1月には『マツタケ山復活させ隊』への視察を予定しています。

 

 

 

 

 

 

お昼の時間に雑談。

小川さん、狩猟もされるのですね。。。野生動物は、胃の中で幼虫のような虫が胃を突き破っていても元気に生きてる!ということ。。人間だったら即救急車で入院。とってもワイルド!!隅から隅まで野生なのですね。

 

 

 

小川さんから、老木のソメイヨシノを復活させる方法を教えて頂きました。

幹や根の老化に対抗して、新たな成長点である不定根が、弱ってしまった

樹勢を回復して、同時に、新しい芽が吹いて成長して、生き残っていく。

植物の生き残り戦略を目のあたりにして、驚きです。

盆栽でも、樹木の移植でも、小川清さん・藤田利幸さんは、2~3年に1度

根を切って、細根を増やす機会を与え、根樽を作って樹木を若返らせます。

動けない木の根を切って、成長点を増やして、増えた細根のあたりの

土を入れ替えると、若返らすことができて、樹木の寿命が延びるのです。

これを理解したら、樹木医の理論(老木の延命)は難しくないと言えます。

植物も動物も、日々刻々細胞を更新(新陳代謝)し続けます。

マツタケ菌は、マツの根の細根:成長点(細胞分裂が盛んな所)を求めて、相利共生します。

マツの根が太くなるに従い、菌根は老化して行き、マツタケ菌は、

マツの根の細根:成長点を求めて、細根と共に環状に広がって行き、

細根の拡充が止まると、マツタケのシロも、その終焉に向かいます。

ソメイヨシノの延命戦略である不定根も、老木の延命も、

マツタケ菌とマツの共生も成長点」がキーワードです。

 

 

みなさん、本日もお疲れさまでした!!

 

 

 

オマケ 真如堂 吉祥院さんのより

真如堂(水上勉「櫻守」の舞台)のソメイヨシノ不定根(千躰地蔵の脇)

には、櫻守:佐野藤右衛門の話や

『白頭吟』by 劉希夷 という、お馴染の漢詩が出てきます。

年年歳歳花相似たり  歳歳年年人同じからず

京都御所(蛤御門北東)のソメイヨシノが、二本足(不定根)で立っています。老木の黒い皮から芽が出て花が咲きますが、その芽を摘み取ってはいけません。貴重な成長点で、ソメイヨシノの生き残り戦略です。マツタケ山の整備で伐採したソヨゴの萌芽は搔き取りましょう。芽が伸びた分、根が生長してマツの根の成長を阻害します。芽を搔き取ることでソヨゴは枯れる筈です。

 

コメントを残す